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魏無羨は藍忘機が冷泉から上がるのを待つことにした。

彼の姿を見つめていると苛立っていた気持ちは徐々に落ち着いていき、逆に不安な気持ちのほうが大きくなっていく。

一体何と声をかければ良いのだろうか。

勢いでここに来てしまったが、考えれば考えるほどに頭の中が混乱していき、いっそのこと出直そうかと思った瞬間。

バシャッ

「…!」

藍忘機が冷泉から上がる音が響く。

魏無羨は一瞬だけ悩んだ後、彼の前へと飛び出した。

「…藍湛」

「魏嬰…何故、ここに」

まさかこんなところに魏無羨が現れるとは思っていなかったようで、藍忘機は怪訝な表情をしている。

彼の身体からは未だにぽたぽたと水が滴っており、鍛え抜かれた筋肉に沿って水が落ちていく姿にドキドキと心臓の鼓動が早まっていく。

魏無羨はゴクッと一つ唾を飲み込んでから琥珀色の瞳を見据えた。

冷静に、冷静に。

そう、自分に言い聞かせてから口を開く。

「なんで最近俺のこと避けるんだよ」

「……」

「藍湛」

「……関わらないほうがお互いのためだ」

藍忘機の低い声に告げられた言葉が脳内で繰り返される。

問いただしたのは自分だったが、はっきりと言われた言葉に想像以上にショックを受け、唇が震えてしまう。

彼にこの震えがバレないように俯き、聞こえるか聞こえないかわからない声量でぽつりと零した。

「……あんなことしておいて…なかったことにするのかよ……」

自分自身がコントロールできなくなってしまったかのようにじわりと瞳に涙が浮かび上がり、視界が歪んでいく。

こんなことで泣いてしまうなんて。

堪えれば堪えるほどに涙は瞳全体を覆っていき、その場から動けずにいると衣が擦れる音が聞こえた。

きっとそれは藍忘機が衣を羽織った音だ。

まさか、このまま何処かに立ち去ってしまうのでは。

そう思った瞬間、魏無羨はバッと顔を上げた。

「らんっ…⁉」

魏無羨に背中を向けて立ち去ろうとしている姿を想像していたのだが、彼は予想に反して魏無羨の目の前にいた。

そして、彼の指先が浮かび上がった涙を拭うように目尻を優しく撫でてきたことに驚きで目を丸くする。

「魏嬰、私はあのとき君に無理を強いてしまった。近くにいたらまた自制ができなくなってしまう気がするから、関わらないほうが良いと言ったのだ」

「……嫌だったなんて言ってない」

魏無羨の言葉に今度は藍忘機が目を見開いた。

それはそうだろう。

最初に彼のことを避けていたのは魏無羨のほうだった。

しかし、それは決して嫌だったわけではなく、接し方がわからなくなってしまったからだ。

魏無羨は一度息を吐き出してから藍忘機の瞳を見つめ、はっきりとした口調で告げた。

「あれからお前のことばっか考えちゃうし、身体がおかしいんだよ。関わらないとか言うな、責任取りやがれ」

言い切った瞬間、魏無羨は藍忘機の衣の襟元をぐっと右手で掴んで引き寄せ、自身の唇を彼の唇へと押し付けた。

色気も何もない勢いだけの口付け。

しかし、彼の顔が近くにあるというだけであの時のことが鮮明に蘇り、魏無羨の身体は一気に熱くなった。

閉じていた唇を薄っすらと開き、彼の唇に吐息を零す。

すると、それに呼応するように彼も唇を開いた。

どちらともなく舌を伸ばす。

最初は遠慮がちに。

次第に、お互いを堪能するように濃密に舌を絡めていく。

「んっ…ちゅっ…はっ…んぅっ…」

唾液の絡み合う淫猥な音が脳内に響き、もっと深く欲しいと魏無羨は藍忘機の首へと腕を回した。

彼のほうが少しだけ背が高いため、腕を回すと自然とつま先立ちになってしまう。

バランスを保つように体重を預けると、藍忘機の両手が衣で包まれた魏無羨の尻をぎゅっと握った。

「んっ…」

僅かに痛みを感じて眉間に皺を寄せる。

すると、魏無羨の反応に気付いたのか藍忘機はそこを握るのを止め、重ねていた唇を離した。

二人の間に互いの熱い呼吸が交じり合う。

「んっ…ぁっ…藍湛…?」

「魏嬰…私が上で動いたらまた無理をさせてしまうかもしれない」

「……じゃあ、どうするんだ?」

脳内はすでに藍忘機と身体を重ねることばかりに占領されており、まさかここでヤらないとか言いだすのではないかと怪訝な表情を浮かべる。

すると、藍忘機がつま先立ちになっていた魏無羨の身体を軽々と持ち上げた。

「うわぁっ⁉」

魏無羨もそれなりに身長があり、体重も軽いわけではない。

それを全く気にせず、いとも簡単に抱き上げられてしまい、落ちないように慌てて藍忘機にしがみつく力を強くした。

「藍湛っ、いきなりどうしたんだよっ」

「場所を変える」

そう言った彼は魏無羨を抱き上げたまま冷泉脇の岩場の後ろへと回った。

確かに元々いた場所では誰かに見られる可能性があり、藍家の者に見つかったらたまったもんじゃない。

魏無羨は藍忘機に運ばれ、そのまま押し倒されるのかと思いきや、彼は向かい合って座った。

藍忘機の両脚を挟み込むように跨る形で膝立ちにさせられ、魏無羨は困惑の表情を浮かべる。

「魏嬰、君に無理をさせたくない。私は動かないようにするから君が上になって動いて」

「え…?」

どういう意味なのか理解できずにいると藍忘機の右手が魏無羨の腰の後ろへと回された。

そのままぐいっと引き寄せられ、抵抗する間もなく藍忘機の身体へと更に密着する。

そして両脚の間、この前弄られた秘所に硬いモノが押し当てられた。

衣越しでもわかるその大きさ。

魏無羨は一気に顔が熱くなるのを感じた。

まさかすでにこんな大きくなっているなんて。

ごくっと息を飲み込むと耳元で彼の低い声が囁いた。

「魏嬰、君が自分でここに挿入れて、自分で動いて」

「なっ…!」

上になるってそういう意味か…!

こいつは俺以上に恥知らずなんじゃないか⁉

魏無羨が衝撃で固まってしまっていると藍忘機の右手が衣に隠された秘所をぐっと押した。

ビクッ

身体が跳ね、熱い吐息が零れ落ちる。

藍忘機は魏無羨の反応を楽しむように何度もそこをぐっぐっと押してきた。

「ぅ、あっ…らんじゃっ…それ、ゃだぁ…」

布越しに指が入ってこようとしてくる感覚にふるふると弱く首を振り、指から逃げるように腰を動かす。

すると、意外にも素直に指は後孔から離れた。

ふぅっと安堵の溜め息をついたのも束の間。

藍忘機の指は二人の身体の間へと移動し、魏無羨の勃ち上がり始めていた陰茎を撫で上げた。

「あぁっ…!」

衣に隠されているが、そこからはくちゅっと小さな水音が鳴り、先走りの液体が溢れていることを想像させた。

後孔を押されただけで勃起してしまったなんて。

こんな敏感な身体になってしまったことに羞恥心が襲ってくる。

彼の右手は親指と人差し指で輪を作り、魏無羨の陰茎を器用に擦ってきた。

「ゃっ、あぁっ…らん、じゃっ…衣、脱ぎたっ…」

衣の中で大きくなっていく音と、濡れた布で擦られる感覚はどうにも耐えがたく、懇願するように藍忘機の肩へと顔を埋めて呟く。

無意識だろうが、魏無羨の腰は手の動きに合わせるようにへこへこと動いており、藍忘機はそれを見て僅かに口角を上げた。

「うん。魏嬰、自分で脱いで」

その言葉と共に手が離れていき、魏無羨は快感で震える身体を動かして下半身の衣のみを脱ぎ捨てた。

案の定、衣の中は先走りの液体でぐっしょりと濡れており、脚から引き抜く際には淫猥な糸を引いていった。

再び藍忘機に跨ると、障害物のなくなった後孔を彼の指がくちゅっと押した。

「ぅあっ…!」

ビクッと身体が跳ね、藍忘機の両肩を両手でぎゅっと握る。

ずぷぷ…と入ってくる指に荒い呼吸を吐き出していると藍忘機の顔に疑問の色が見えた。

「……魏嬰、あれからここを使ったりした?」

「え……なん、で…?」

魏無羨の顔には明らかに焦りの色が浮かんでいる。

誤魔化したいのか視線を彷徨わせており、両肩を掴む手にも力が入っていた。

「柔らかい」

「っ…!」

「魏嬰、教えて」

言葉にするのを躊躇っている魏無羨を促すように藍忘機は彼の後孔の浅い部分を指先でくるくると撫でていく。

答えなければそこから先には進まないと言われているようで、魏無羨は小さくぽつりと呟いた。

「……自分で…やった…」

「どうして?」

「……お前にやられてから身体おかしくて…前だけじゃ足りなくて…だから……ぅあっ…!」

ぐちゅっ…

答えられたことへのご褒美だとでもいうように藍忘機の指は敏感な部分を押し上げた。

一気に快感の波が押し寄せ、反射的に腰を前へと動かす。

反応を見せた場所を藍忘機は何度も指で押し上げ、その度に魏無羨の口からは甲高い喘ぎ声が零れ落ちた。

「あっ、ゃぁっ、そこっ、ぁあっ」

ビクッビクッと身体が跳ね上がる。

強すぎる快感に生理的な涙を浮かべると、藍忘機は指の数を二本へと増やした。

二本の指で前立腺を押し上げられ、勃起した陰茎から先走りの液体が溢れてその場所を僅かに隠している上半身の衣を濡らしていく。

「ゃっ、あぁっ、らん、じゃっ、もういいっ、もぅ、いいからぁっ」

前立腺への刺激だけで達してしまいそうで、魏無羨は涙交じりの声で懇願した。

後孔を拡げるように二本の指でぐりっと掻き回されたあと、その指はゆっくりと引き抜かれていった。

「はぁ…はぁっ…」

「魏嬰、できる?」

「んっ…」

乱れた呼吸のまま視線を下げるとそこには窮屈そうに布を押し上げているモノが目に映った。

彼の肩を掴んでいた手を離し、緩慢な動きでその場所を露出させる。

中から現れたそれはすでに十分な硬さを持ってビキビキと赤黒い血管を浮き上がらせており、魏無羨はごくりと一つ息を呑んだ。

そして、藍忘機の手によって解された後孔を勃起した陽物へと押し当てる。

ずぷっ…

「ぅあっ…んっ…は、ぁっ…はぁっ…あぁっ!」

ゆっくりと腰を落とし、彼の長大な陽物を飲み込んでいく。

後孔が拡げられていく感覚にビクビクと身体が震え、一番太い部分を飲み込む際には一瞬息が止まってしまう。

自重でずぷずぷと陽物を飲み込んでいったが、亀頭の張った部分が前立腺に擦れた瞬間、ビクンッと跳ねて動きが止まってしまった。

強すぎる快感にガクガクと脚が震える。

「ゃ…ぁ…っ…」

はふはふと息を零し、なんとかその大きさに馴染もうとするが、一度動きを止めてしまったせいかなかなかその先にいけなくなってしまう。

助けを求めるように藍忘機の顔を見つめると、彼の視線は魏無羨の視線とは絡み合わなかった。

彼は顔よりももう少し下の位置を見つめている。

「…?」

魏無羨も彼の視線の先を見つめると、そこは乱れた衣の隙間から白い肌に浮かぶ薄紅色の粒がちらちらと覗いていた。

「っ…!」

じっとその場所を見られていたことに羞恥心が込み上げ、衣の合わせを整えて隠そうとしたのだが、魏無羨が動くのよりも早く藍忘機がその場所に噛みついてきた。

「あぁっ…!」

歯を立てられ、突起の先端に痛みが走る。

それと同時に身体がビクンッと跳ね、後孔の陽物を更にずぷっと飲み込んだ。

「ひ、ぁっ…あぁっ!」

ぐちゅっ

自重で最奥まで陽物を飲み込み、喉を仰け反らせてはくはくと唇を動かす。

「魏嬰、動いて」

「ひっ…ゃ…そこでっ、しゃべるなぁっ」

「動いて」

藍忘機は魏無羨の乳首を食みながら、左手でもう一方の乳首を抓り、右手は腰を動かすことを促すように結合部から腰に向かってツーっと撫で上げてきた。

「あぁっ!」

三か所からの異なる刺激に身体は電気が流れたようにビリビリと痺れ、それでもなんとか緩々と言われた通りに腰を前後に動かす。

しかし、その刺激だけでは到底イくことなどできず、少し腰を上下にも動かしてみたが、上手くできずに涙が込み上げてくる。

その間にも乳首は噛まれ、抓られ、引っ張られ、薄紅色だったものが今はぷっくりと赤く色付いてしまっていた。

「や、ゃあっ…らんじゃっ、イけないっ…できないっ…」

「どうしてほしい?」

「……藍湛が…やって…」

「良いのか?」

「……うん」

魏無羨が頷くと藍忘機は乳首を唇に挟んだまま僅かに口角を上げた。

そして、両手で魏無羨の腰を強く掴み、下から勢いよく腰を突き上げてきた。

「あぁっ…!」

弱々しい刺激から突然の強い刺激に目の前にチカチカと白い光が明滅する。

ばちゅっ ばちゅっ

「ゃ、あぁっ、つよっ、あぁっ、まってっ」

「待てない」

「ひ、ぁあぁっ!」

両手で上下に腰を揺さぶられ、それに合わせるように下から突き上げられる。

前立腺も最奥も何度も彼の上向きの陽物で擦り上げられ、口からは甲高い喘ぎ声が止まらなくなり、二人の間では魏無羨の痛いほどに勃ち上がった陰茎がとめどなく透明の汁を流していた。

「あぁぁっ、ゃ、あぁっ、痛っ、噛むなぁっ」

突き上げながらも乳首を噛まれ、ぐーっと歯で引っ張られ、そこはジンジンとした痛みを生み出している。

魏無羨が文句を言うと今度は舌先でちろちろと舐められ、痛みとのギャップに更にわけがわからなくなっていく。

「や、ぁっ、あぁっ、おかしくなっちゃっ、あぁぁっ」

ばちゅんっ

ガリッ

「あぁぁぁっー!」

最奥を大きく一突きされたのと同時に乳首を噛まれ、魏無羨の陰茎からドピュッと白濁の液体が二人の間に飛び散る。

ぎゅうぎゅうと後孔をきつく締め付けると、未だ乳首に吸い付いたままの藍忘機の鼻から熱い息が肌にかかり、次の瞬間、奥にドクドクと熱い液体が叩きつけられた。

痛みと快感がごちゃ混ぜになった状態での絶頂に、息を乱しながら藍忘機の顔を見つめる。

「はぁ…はぁ…っ…らんじゃんのばかぁ…」

「…君がやって良いと言った」

「そ、ぅ…だけど…こんなひどいイき方…普通にイけなくなっちゃったらどうするんだよぉ…」

後半のほうはぼそぼそと声が小さくしながら、魏無羨は藍忘機に散々苛められて赤く腫れてしまった乳首をそっと手で覆った。

敏感になってしまったそこは手の平が少し触れただけでも全身に甘い痺れを起こし、反射でぎゅっと後孔の陽物を締め付ける。

それを見た藍忘機はフッと笑いを零し、魏無羨の耳元に唇を寄せた。

「私が何度でも相手をする」

まさかそんなことを言われるとは思わずに目を大きく開けて藍忘機のことを見つめていると彼の唇が魏無羨の唇を軽く啄んだ。

先ほどの乳首に噛みついてきた荒々しい感じとは全く違うことに笑いが込み上げてきてしまう。

「ぷっ…あははっ…しょうがないなぁ…これからもよろしくな、藍兄ちゃん」

魏無羨はそう言って再び唇を重ね合わせた。

 

―何度でもEND―

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