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魏無羨は下衣のみの姿になり、音が鳴ることなど気にせずに冷泉に飛び込んだ。

突然背後から鳴った大きな音にさすがの藍忘機も驚きの表情で振り返り、魏無羨の姿をその琥珀色の瞳で捉えた。

魏無羨は怒りの表情を浮かべながら藍忘機に近付き、彼の前で立ち止まって声を荒げた。

「藍湛!どうして避けるんだよ!」

「……」

藍忘機が気まずげに視線を逸らしたことに、更に彼に一歩近付く。

「藍湛!」

「……私と、関わりたくないのだろう」

「っ…」

藍忘機のその言葉に、魏無羨の中でブチンッと糸が切れるような感覚がした。

そして、右手をぐっと握り締めたあと、その手で藍忘機の肩を強く掴んだ。

「魏っ…っ⁉」

殴られるとでも思ったのだろうか。

藍忘機が逸らしていた視線を魏無羨のほうに向けた瞬間、その唇には温かいものが触れていた。

大きく見開いた瞳に映ったのは魏無羨の震える睫毛だった。

ほんの一瞬だけの口付け。

薄く開いた唇の隙間から零れた熱い吐息を感じるとそれはすぐに離れていった。

あまりの突然の出来事に藍忘機はその場で固まってしまい、何が起こったのか理解が追い付けずにいると俯いた魏無羨が小さく声を零した。

「……お前のことなんて忘れたかった。忘れたいのに忘れられないんだよ、どうしてくれるんだ」

そう零す彼の声は後半になるにつれ震えが混じり、それはまるで涙を堪えているかのようだった。

「…私のことが嫌いではないのか?」

魏無羨の様子に困惑気味に尋ねると、彼はふるふると首を横に振った。

俯いていた顔が上げられると瞳には薄っすらと涙の膜が張っていたが、そこには決意のようなものも込められているように見える。

そして、はっきりとした口調で藍忘機に告げた。

「嫌いだったらこんなことしてない」

そう言った彼の頬は僅かに赤くなっており、再び藍忘機の唇にちゅっと軽い口付けを送る。

未だ硬直してしまっている藍忘機に対してぷくっと頬を膨らませると、彼は漸く目覚めたかのように魏無羨の身体を強く抱き締めた。

そして魏無羨が先ほど重ねてきた唇を熱い唇で塞いだ。

その口付けは呼吸すらも飲み込むように激しく、口内を舌で蹂躙される。

「んっ…ぁ…ら、んっ…んぅっ…」

舌を必死に絡ませると次第に身体の熱が上がっていき、二人はお互いの体温を確かめ合うように互いの衣を脱がせあった。

もともと下衣しか纏っていなかったため、あっという間に一糸纏わぬ姿になり、藍忘機は二人分の衣を冷泉脇の岩の上へと放り投げた。

普段の彼からは想像できないような行動に笑いが込み上げてきてしまう。

魏無羨は藍忘機の首へと腕を回し、彼の耳元へと唇を近付けた。

「藍湛、また俺とえっちなことしたかった?」

「…うん」

少し躊躇いがちに答えた彼の耳は薄っすらと赤くなっており、可愛らしいその反応に魏無羨は彼の耳へと舌を這わせる。

すると、彼の両手が魏無羨の白い尻をぎゅっと握った。

「んっ…ふふっ、藍湛のえっち……って、うわぁっ⁉」

藍忘機を更に揶揄ってやろうと思ったのだが、突然身体がぐいっと持ち上げられてしまい、慌てて藍忘機の身体へと両脚を巻き付ける。

水の浮力によって身体は軽々と持ち上がり、尻を揉んでいた藍忘機の指が後孔に触れた。

「ひっ…えっ、もしかしてここでヤるのか…?」

「うん」

迷いなく答えた藍忘機の指がつぷっ…と後孔に差し込まれる。

衣を脱ぎはしたもののまさか水の中でヤるなんて思わず、魏無羨はビクッと身体を震わせた。

「ま、待て、藍湛っ、せめて冷泉から上がって…ぁあっ!」

魏無羨の制止する声を無視して藍忘機の長い指は更に後孔内へと押し込まれた。

指と一緒に冷泉の水が中に流れ込み、内側から冷やされるような感覚に身震いをする。

「つめたっ…藍湛、これじゃ羨羨、風邪引いちゃうよ…ひぁっ!」

どうにかして冷泉から上がらせてもらおうと思ったのだが、藍忘機は魏無羨の敏感な場所を指先でぐっと押してきた。

ビクビクッと身体が跳ね、藍忘機の身体にぎゅっと抱きつく。

魏無羨が抱きついてきたことに気を良くしたのか、藍忘機は前立腺を何度もぐっぐっと押し、その度に魏無羨の口からは甘い喘ぎ声が零れ落ちた。

「んっ…ぁ…らん、じゃっ…ぁあっ…そこ、ばっかっ…あぁっ!」

二本目の指と共に更に多くの水が体内に入ってくる。

藍忘機はその二本の指で前立腺を挟み込むようにし、擦ったり叩いたりと刺激を変えてきた。

そのうえ後孔を拡げるように二本の指を左右に開かれ、奥のほうまで水が入り込んでくる。

冷泉の水は冷たいはずなのに、二本の指で高められた身体にはその冷たさが心地良く感じられ、魏無羨は浮力を利用して自ら腰をかくかくと上下に動かした。

「魏嬰、気持ち良い?」

「ぅ、んっ…ぁっ…変な感じするけどっ…きもちぃっ」

喉を仰け反らせ、快感を求めるように彼の指先が前立腺に当たるように腰を捩らせる。

ぱしゃんっぱしゃんっと水の音が大きくなり、快感を求める動きは更に激しくなった。

魏無羨の陰茎は完全に勃ち上がっており、腰を動かす度に藍忘機の逞しい腹筋に擦りつけ、彼の身体を使って自慰行為をしているようにも見えた。

「あ、ぁあっ、らんじゃっ、イきそっ…あっ⁉」

あともう少しの刺激でイける。

そう思った瞬間、無情にも後孔に入っていた二本の指がずるりと引き抜かれてしまった。

突然の喪失感に蕾はひくひくと収縮し、魏無羨は達せなかったことに不満気に藍忘機を見つめる。

「なんでっ…」

「一人で気持ち良くなってはいけない」

くちゅっ…

「ぁっ…!」

ひくつく蕾に熱いものが押し当てられる。

反射的に逃げるように身体を上げるが、彼の手が許してくれるわけがなかった。

ぐっと押し付けられ、陽物の先端が蕾を押し開いてくる。

指とは比べ物にならないサイズのものが挿入ってくることに息を詰めると、更に押し付けられ、亀頭の一番太い部分がぐちゅっと後孔内に入り込んだ。

「あぁっ…!」

はくはくと唇を動かし、その太さに慣れようとしていると藍忘機の動きが止まってしまった。

一気に奥まで貫かれることすら想像していたのに突然中途半端なところで止められたことに何があったのかと彼の瞳を見つめる。

「らん、じゃん…?」

「…魏嬰、自分で腰を下ろしてほしい」

「え…はっ、はぁっ⁉」

予想外のお願いに驚きの声を上げると、藍忘機は尻を支えていた手の力を抜いてしまった。

いくら浮力があるとはいえ、彼の手の支えなしでは身体は下に落ちようとしていく。

魏無羨は慌てて腰に巻き付けていた両脚に力を入れて、下へ落ちることを阻止した。

「な、なんで…」

「この前は君の身体を考えずやってしまったから。痛くないように自分で下ろして」

「……」

魏無羨は信じられないという表情で藍忘機の顔を見つめたが、彼は本当に動いてくれる気がないようだ。

あの時はあんな破竹の勢いで突っ込んできたくせに!

なんで今日はこんな余裕があるんだ!

魏無羨が心の中で文句を言っていると彼の大きな手が魏無羨の丸い尻を撫でた。

ピクッと身体が震え、一度きゅっと瞼を閉じる。

その瞬間、魏無羨の頭の中に一つの考えが浮かんだ。

そして、琥珀色の瞳をじっと見つめながら尋ねた。

「…藍湛、もしかして俺がお前のこと避けてたの結構気にしてる…?」

「……」

藍忘機は答えなかったが、ふいっと視線を逸らした。

視界に映る耳は赤くなっており、魏無羨は予想が当たったのだと何故か嬉しくなる。

「藍兄ちゃーん?図星でしょ?」

「……うん」

「ふっ、あははっ、別にあれが嫌だったから避けてたわけじゃないよ。その…俺だってさすがに男同士でヤるなんて思わなかったし…顔合わせるのが気まずかったというか……あぁ!とにかく!嫌じゃなかったから!それに!お前も俺のこと避けただろ!」

「それは…すまなかった」

「…ぷっ、ははっ、もういいよ。仲直りしよう、藍湛。先に避けちゃったのは俺だし、お前のお願い聞いてやるよ」

魏無羨はニコッと笑みを浮かべ、藍忘機の唇へと軽い口付けを落とした。

そして、中途半端な位置で止まってしまっていた彼の陽物を飲み込むべく、ゆっくりと腰を落としていく。

「んっ…は、ぁっ…やっぱお前のおっきぃな…っ…ぁあっ…!」

上向きの陽物が前立腺を押し上げ、ビクッと身体が跳ね上がる。

その位置で止まるのは不味いと思い、魏無羨は腰を落とす速度を上げた。

「は、ぁっ…はぁ…んっ…いま、どれくらい…?」

「半分ほど」

「うそ、だろ…」

結構挿入れたつもりだったのだが、まだ半分だという信じられない事実に目を見開くと、藍忘機が肩に乗っていた魏無羨の右手を取った。

何をするのかとされるがままになっていると、その手はなんと後孔へと導かれ、どくどくと脈打つ陽物に触れた。

それは確かに藍忘機の言うようにまだ半分ほど中には収まっておらずに出ており、魏無羨は愕然とする。

前回は本当にこれが全部挿入っていたのか…?

自分ではこれ以上挿入れられる気がせず、魏無羨は彼の陽物に触れていた手を元あった位置に戻し、甘えるように藍忘機の耳元へ唇を寄せた。

「藍兄ちゃん…俺もう無理…お願い、文句言わないから藍湛がやって…」

鼻にかかる甘い声に藍忘機の身体がピクッと反応する。

前回のことをまだ気にかけているのか、藍忘機はなかなか動き出そうとしなかったため、魏無羨は彼の耳にかぷりと優しく嚙みついた。

「藍湛…お腹の奥…この前から疼くのに自分じゃ届かなかったんだ…」

「くっ…」

「お願い…」

その一言を言った瞬間、藍忘機の両手が強く魏無羨の腰を掴んだ。

そして、間髪入れずにぐちゅっと残りの陽物が体内へと押し込まれる。

「あぁぁっ!」

魏無羨の目にチカチカと眩い閃光が散り、背中と喉が仰け反る。

白い首に薄っすらと浮かぶ喉仏。藍忘機は淫靡さを感じるその部分にがぶりと噛みついた。

「ひっ、あぁっ!」

首に与えられた痛みに反射的に後孔を締め付けてしまうと藍忘機の唇から色っぽいくぐもった声が零れた。

最奥を捏ねるように動かされたかと思ったら今度は激しく抽挿をされ、魏無羨は疼いていた部分に与えられる刺激に恍惚とした表情を浮かべる。

水の中だからなのか、肌がぶつかる衝撃は幾分和らいでいたが、その代わりに出し入れの度に水が体内に送り込まれ、その未知の感覚にすら快楽を得だしていた。

「ぁあっ…らん、じゃんっ…あぁっ…きもちっ、いいっ…」

「うんっ、私もっ」

ばちゅんっばちゅんっと水が跳ね、魏無羨の喘ぎ声も大きくなっていく。

誰かに見つかったらどうしようかと一瞬頭を過ったが、快感に犯された身体はすでに制御することができなくなっていた。

魏無羨は脚に力を入れることができなくなり、今や完全に藍忘機に体重を乗せている状態である。

最奥を穿たれる度に二人の間に挟まれた陰茎も刺激され、波打つ水から薄っすらと見えるそれは限界を迎えようとしていた。

「あ、ぁあっ、らんじゃっ、イきそっ、あぁぁっ」

「うんっ、イって」

「ゃ、あぁぁっ!」

ビクビクッ

魏無羨の全身が痙攣し、水中に白い液体がまき散らされた。

絶頂により、藍忘機の身体をぎゅっと両脚で締め付けるが、彼の両手がその両脚を開かせるように掴んだ。

そして、再び激しく最奥を突き上げてくる。

「あぁぁっ!まっ、イったっ、イったからぁっ」

「私はまだだっ」

「ゃあぁっ、まって、へんっ、ゃあぁああっ!」

絶頂を感じながら更に追い詰められ、魏無羨はその快感から逃げようとしたが、この状況では逃げられるわけなんてなかった。

ばちゅんっばちゅんっ

「あぁぁっ、なんかっ、でぅっ、でちゃっ、あぁぁっ」

ビクビクッ

魏無羨は再び激しく痙攣した。

水中に何か生温かいものが吐き出されたようだったが、それは無色透明であり、水の中では何が出されたのか判別できない。

射精をしない絶頂により、魏無羨の後孔は先程よりも強く藍忘機の陽物を締め付けた。

「くっ…」

藍忘機は一層深く最奥を突き、そこに濃く熱い精液を叩きつけた。

体内で冷泉の水と藍忘機の精液が交じり合う感覚に魏無羨は言葉にならない声を漏らし、ぼんやりとした瞳で藍忘機を見つめ、その唇に自身の唇を重ねた。

「ちゅっ…んっ…ふっ…ぁ…」

絶頂後の余韻を感じながらの口付けは心地良さを増し、二人は貪り合うように口付けを楽しんだ。

唇を離すと二人の間には透明の糸が繋がり、それが切れるとぽたっと冷泉の中へと落ちていく。

「んっ…らんじゃ…」

「うん」

「へへっ…らんじゃん…らんじゃん…」

魏無羨は夢見心地なのか何度も藍忘機の名前を繰り返し、藍忘機もそれに「うん」と答え、彼の背中を優しく擦った。

お互いの体温を感じながら再度ちゅっと軽い口付けをすると魏無羨は藍忘機の肩に顔を埋め、猫のように頭をそこに擦りつける。

そして、ぽつりと小さく呟いた。

「……藍湛と仲直りできてよかった」

 

―仲直りEND―

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